医院名 |
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オウゼンジセイケイゲカ 王禅寺整形外科 |
院長 |
イズミ ヤスジロウ 泉 康次郎 |
住所 |
〒215-0018 神奈川県川崎市麻生区王禅寺東3-26-6 王禅寺メディカル2F |
診療科目 |
整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科
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電話番号 |
044-969-2226 お電話にてお問い合わせください。 |
皆様のお役に立てるような情報などを書いていこうと思っています。地元の情報誌に書きました記事が中心となっていますが、御希望の内容がございましたらお知らせ下さい。
腰痛がない70歳以上の高齢者を対象に、腰部のレントゲンやMRIを撮影した研究があります。腰痛がない人のレントゲンやMRIを検討した結果、腰痛がない人においても「椎間板ヘルニア」「脊柱管狭窄」「椎間板のつぶれ」、また痛みがないのに「圧迫骨折」などの所見が見られたの報告です。
これはレントゲンやMRIが示す、ヘルニアや脊柱管狭窄の状態は、症状の有無にかかわらず、多くの人が持っているということを意味します。
症状がない人でもこのような所見がありますので、これらの画像所見からだけで、ヘルニアや脊柱管狭窄として治療することにはなりません。
骨折や癌などの腫瘍、重度の変形ではない場合、画像所見だけで痛みの原因として診断してしまうことは、治療につながらないことが、ほとんどです。
重度の脊柱管狭窄症がMRIで見つかっても、それが症状の原因でない場合が多いです。
画像上の変形などの異常所見が痛みの原因とは限りませんので、レントゲンやMRIなどの画像の所見以外から痛みの原因を探し出すことが、多いのが整形外科の現状です。
痛みの原因でない画像所見を過去に痛みの原因と説明を受け、それが頭から離れず、何十年も気になさる患者さんも時々いらっしゃいますので、痛みの原因ではない画像所見をむやみに説明して、患者さんに不安を与えないようにする配慮、また安心を与える配慮が必要です。
また、膝や股関節など脊柱以外の部位でも、レントゲンやMRIに異常所見があっても、それが本当に痛みの原因と納得されることは、安易にはしてはいけません。
整形外科の場合、画像所見だけでは、痛みの治療には対処できない場合がほとんどです。
概ね70歳以上の方には、ビスホスホネート製剤(月に1錠または週に1錠服薬)とビタミンD製剤を、それ以下の方には、SERM製剤とビタミンD製剤を処方しています。
骨粗鬆症の程度により、半年に1回注射するデノスマブ(プラリア)、また、週に1回通院または毎日患者さんが自分で注射する副甲状腺ホルモン製剤(テリボン、フォルテ)をすすめています。月に1回注射する抗スクレロスチン抗体(イベニティ)もあります。
通院の頻度がちがってきますので、患者さんの都合で選択していただきますが、月に1回の注射のものが一番効果があります。
骨粗鬆症の方が、脊椎の圧迫骨折、その他の骨折を起こした場合、受傷直後から副甲状腺ホルモン製剤の注射を週に1回の割合でしていきます。骨粗鬆症の治療だけでなく骨折の痛みを早く軽減します。
早期発見治療が大切ですので、ご不安な方は検査を受けてください。
関節リウマチは、自己免疫(細菌やウイルスなどから自分を守るシステムが、自分の細胞や組織を傷めてしまうこと)による炎症で、関節に腫れや痛みがおきる病気です。
治療が行われないと、関節の炎症が続き、関節の骨、軟骨、靭帯などが破壊され、もとの状態に戻せない状態になります。
最近では、早期に診断し、適切な治療を始めていけば、関節の破壊を防ぎ、日常生活への影響を少なくできるようになってきています。
関節リウマチの有病率は、100人から200人に一人くらいとされています。男性1に対して、女性4くらいとされています。
遺伝子も発症に関与しますが、両親や親せきが関節リウマチだからと言って、高い確率で発症するわけではありません。
また、過去の生活を振り返ってみても、発症の原因を特定することは、難しいのが現状です。
現在の治療の目標は「寛解」を目指すことです。関節の炎症をなくし、腫れや痛みがなく日常生活を送れる状態を作ることです。
しかし、「寛解」を達成したとしても、ほとんどの場合、薬剤をすべて中止することは難しく、中止すると再発してしまいます。今後の治療法の進歩に期待するところです。
初期症状としては、朝のこわばり、朝の起き抜けに手や足が動かしにくい、腫れぼったような症状が30分以上続く場合は、関節リウマチも疑われます。
また特に指の第2、第3関節の腫れは特徴的ですが、手首、足、肘、膝など好発部位ではあり、早めの受診をすすめます。
〈早期診断、治療の必要性〉リウマチの初期に治療を開始すれば、「治癒」に持ち込むことができる時期があると考えられるようになっています。発症後、3か月が重要と考えられています。早期に治療を開始するためには、血液検査や超音波エコーによる早期の診断が必要です。
〈抗CCP抗体〉リウマチの診断、治療において、必須の血液検査項目です。今症状がでていない人でも、陽性の場合は、数年以内に発症する可能性が非常に高いです。また、抗CCP抗体の値が100以上の人は、症状が強くでる可能性が高いです。
【リウマチ性多発筋痛症】
50歳以上の高齢者に多く発症し、肩や腕、太ももなどの筋肉の痛み、朝のこわばりなどを訴えます。
「リウマチ」と病名についていますが、関節リウマチとは別の病気です。
特に年齢が70歳前後で、急に肩が痛くて両腕を上にあげられなくなった、朝の症状が強い、と言うときはこの病気の可能性があります。
血液検査で炎症の状態をみます。
治療ではステロイドの内服を長期に続ける必要があります。ステロイドの内服治療によく反応しますが、多くの場合、2から3年は内服が必要です。再発も多いです。
こめかみの痛みや噛むときの違和感を伴うときは、視力障害を発症する恐れもあり、特に注意が必要で、ステロイドを内服する量を多くする必要があります。
【乳児の股関節脱臼】
乳児の股関節脱臼は、時々みられる疾患です。
脚の開きが悪い、左右の脚の長さがちがう、太ももやお尻のシワが左右で対称でない、などが症状です。
脱臼していても痛がりません。
多くは先天性ではなく、生まれてから起こると考えられています。
赤ちゃんは、膝を曲げ、股を開くカエルのような格好をするのが自然なのですが、それを無理に真っ直ぐにしたり、赤ちゃんが股を開く姿勢を妨げるオムツや服をつけることで、脱臼が起こりやすくなります。
遅くとも生後8か月までに発見したいものです。
簡単なバンドをつける適切な治療を早期に始めれば、9割以上の確率で治ります。
レントゲンなどを用いず、ほとんどの症例は、専門医の視診と触診で診断ができます。
放置しておくと関節の変形をおこすことがありますので、脱臼が疑われる時は早めに専門医を受診してください。
骨盤の後ろ側にある「仙腸関節」を、動かしているのがわからないくらいの弱い力で、手で1ミリ程度動かす調整を行うと、体のいろいろな部分の痛みを、和らげることができます。
この手技によって、腰や、股関節、膝の痛みがある方のうちの、約4割の方を軽快に導いています。
レントゲン写真での関節や脊椎の変形の度合いと、痛みの強さは必ずしも比例しません。手術をすすめられるような変形性股関節症の方でも、骨盤調整による治療で、手術せずに維持できる場合も多くあります。
痛みには、神経への圧迫による痛み、炎症による痛みなどがありますが、骨盤の「仙腸関節」の調整で和らげられる痛みも多くあります。
骨盤調整は、骨や関節の痛みの治療に欠かせない治療法のひとつになっています。
レントゲンやMRIの異常所見≠腰や脚の痛み、しびれの原因という考えを持てるかどうか、まず大切です。
腰痛や脚の痛みやシビレの原因を、レントゲンやMRIで説明できる症例の割合は、半分もないのが現実です。
間欠性跛行がある、動けないくらいの強い腰痛・下肢痛が3日以上も続くような時は、脊柱管狭窄症、圧迫骨折、椎間板ヘルニアなどの所見が得られることが多いです。
それ以外の場合に、骨のすき間がせまい、椎間板が黒い、出ているなどの所見は、意味がなく、画像以外で原因を探していかなくてはなりません。
医師による触診などの診察、また診察に基づいてセラピストに治療を指示しますが、そのセラピストが行う治療効果からのフィードバックも非常に大切で、診断・治療方法の修正を行うこともあります。
【腰部脊柱管狭窄症】
脊柱管狭窄症の原因の大部分は、加齢に伴う背骨の変形です。
背骨の中の神経の通り道が狭くなり、脚の方へいく神経への血流が悪くなります。
特徴的な症状は、歩いていると脚がしびれてきて、しばらくすると歩けなくなりますが、その場で休むとしびれが消えて、また歩けるようになる、いわゆる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。症状は、片脚にでる場合と、両脚にでる場合があります。
脊柱管は背骨がそっていると狭くなります。その部分のそりを少なくする手技や運動療法をしていきます。
すぐに効果が出る方もいますし、効果がなかなか出ない方もいます。しかし、経過をみていくと、よくなっていく方がたくさんいます。リハビリを続けていくと、最初は300メートル以下しか歩けなかった症例のうち、3分の2ぐらいの症例で、1000メートル歩けるようになります。手術をすすめられても、排尿障害などなければ、1年から2年くらい手術を受けずにリハビリを受けながら経過をみていってもいいと思います。
また間欠性跛行の症状がなく、画像による診断だけで狭窄症と診断することには疑問もあります。
腰や骨盤の角度を変えていくリハビリを行っていくと間欠性跛行が治っていく方もたくさんいらっしゃいます。
【腰椎椎間板ヘルニア】
多くの場合、左右どちらかの脚に急に強い痛みが出現します。痛みが強く、脚をひきずりながら歩くようになります。
原因はわからないことがほとんどです。経験上、症状、診察から椎間板ヘルニアと診断できますが、他の悪い病気がないか念のためMRIの検査を受けていただくこともあります。
椎間板ヘルニア自体はこわい病気ではありません。3、4か月くらいで治癒にむかいます。ただ、初期には痛みが強くたいへんつらい思いをします。その初期の痛み(長くて1か月続く時も)に対処していく必要があります。
病院ですので、痛み止めの点滴、ブロック注射、投薬などをおこないます。また当院では血流や筋緊張の改善、ヘルニアが早く消えるように免疫力を上げる目的で鍼治療もおこないます。
痛みがひどいともちろん動けませんが、安静にしているとかえって痛みやシビレが長引き、また痛みやシビレが少し残ってしまう印象もあります。神経がまわりの組織と癒着したり、神経の滑走性が悪くなるからなのでしょうか。
手術は、生活上強い痛みをすぐにでも治したい方、ヘルニアによって麻痺症状(尿の出がおかしい、足首が動かないなど)が起きている方にのみ、すすめています。
脚をひきずるような強い痛みではないときは、いわゆる坐骨神経痛や骨盤の関節の問題も考慮して、腰や臀部などの筋肉を中心とした理学療法や骨盤調整、鍼治療などをおこなっていきます。
MRIの検査にてヘルニアがあると言われても、それが症状の原因になっていない場合の方が多いのが現実です。特に症状が片側の脚の強い痛みでない場合は、画像上ヘルニアがあっても気にしない方が賢明です。
MRI画像で構造的な異常が見つかっても、それがイコール痛みの原因でないことはよく知られています。無症状の人でも画像上の異常があることは珍しいことではありません。そこの部分を治す必要はありません。また、患者さんの痛みの原因が明らかにそこの部分にはないと判断できるときは、説明をしないことも多いです。悪いというイメージが頭に刷り込まれると、それが不安をもたらし、その不安が痛みの原因になってしまうことも多いからです。
レントゲンの所見≠関節の痛みの原因との考え方を持つことが大切です。
特に膝の場合は、レントゲンの異常所見で痛みを説明できることは、ほとんどないとも言えます。
膝、膝周囲の筋肉、腱、脂肪体、神経などの触診、足・足関節、股関節周囲の診察を行っていきます。
診察後にセラピストに治療の指示をしますが、セラピストの行う治療の効果も検討し、診断や治療方法の修正を行うこともあります。
MRIにて、半月板が傷んでいる所見がある場合も、セラピストの治療で痛みがなくなっていく症例の方が多いです。
関節の痛みの多くは軟骨が原因ではないということがわかってきました。
関節の痛みというと、軟骨が擦り減って骨がこすれるのが原因、と思われる方が多いのではないでしょうか?
軟骨が擦り減り、手術が必要な場合もありますが、まれです。
反対に擦り減っていても、痛みがない場合が非常に多いの現実です。
多くは、関節周囲の腱や筋や、それらを支える組織の痛み、脂肪体または何らかの原因による関節内の炎症によるものです。
関節の痛み、特に股関節の痛みがなかなかとれない方の場合、股関節周囲の筋肉が緊張して関節内の圧が高くなり痛みの原因となっていることが多いのも確かです。
原因を正確に把握し、セラピストによるリハビリをおこなっていきます。
炎症が強いときは、注射をして痛みをとります。
日常生活では、ゆっくりとしゃがむ屈伸運動やストレッチなど適度に、適切に、運動させていることが痛みの予防に大切です。短時間の正座は、関節にいい刺激になることも多いです。
高齢者の膝や股関節の痛みであっても、軟骨が原因でないものの方が多いです。
変形性関節症という見方だけで、関節の痛みをとらえない方が適切です。
【成長痛】
10歳以下では、一過性の脚の痛み。10歳以上ではスポーツなどによる疲労性の痛みに対して一般的に使われている言葉です。
骨の成長にともなっては痛みがおきることはないことから、成長痛という言葉を病名としては使っていません。
典型的な「成長痛」
・幼稚園保育園から小学校低学年の子供が、夕方から夜の間に脚の痛みを訴える。泣くほど痛がることもある。
・さすったり、抱っこしてると改善し、翌朝にはふつうに歩ける。
・痛みが不定期に繰り返しおこる。
・痛みのために早退したり、休んだりすることはあまりみられない。
原因としては、疲労性要因、精神的要因があるとも言われていますが、確定されていません。
特別な治療は不要で、痛いところをさすってあげたり、外用薬を貼付するなど、スキンシップを大切にしてください。
外傷であったり、腫瘍などの注意すべき疾患もまれにはあります。念のため診察は受けられてください。
(長野県立こども病院の「みんな成長痛って知ってる?」というパンフレットが参考になります。)
【背骨の側弯症について】
小学校や中学校の健康診断で背骨の「側弯症」疑いと指摘され、来院される方がたくさんいらっしゃいます。
側弯が軽度の場合は、治療はしないで、そのまま年に1回とかレントゲン検査と診察で経過をみていけば大丈夫です。軽度とは背骨が曲がっている角度が20度から25度くらいのことです。経過をみていき次回の診察で進行していれば、装具などでの治療を考えていきます。
側弯症学会のホームページが参考になります。
【肘内障】
子どもが手を引っ張られたりした時に、痛がって腕を下げたまま動かさないようになります。
肘にある橈骨頭という所を包んでいる輪状靭帯がはずれかかることによって起こります。
動かさなくなった時のお話を良く聞くことと、超音波エコーで診断していきます。
整復は簡単な場合がほとんどですが、その場ではできないこともまれにあります。翌日や数日後にまた整復を試みたり、自然に整復されていることもあります。
これまで肘に関して、肘内障による後遺症と思われる症例には出会ったことがありませんので、後遺症は残さないものと思われます。
注意しなくてはいけないのが、微小な骨折や骨端軟骨の損傷です。整復できない場合は、それらの可能性も考え、シーネ固定をして経過をみることもあります。