医院名 |
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オウゼンジセイケイゲカ 王禅寺整形外科 |
院長 |
イズミ ヤスジロウ 泉 康次郎 |
住所 |
〒215-0018 川崎市麻生区王禅寺東3-26-6 王禅寺メディカル2F |
診療科目 |
整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科
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電話番号 |
044-969-2226 |
皆様のお役に立てるような情報などを書いていこうと思っています。地元の情報誌に書きました記事が中心となっていますが、御希望の内容がございましたらお知らせ下さい。
腰痛のない70歳以上の高齢者を対象に、腰のレントゲンやMRIを撮影した研究があります。その結果、痛みがないにもかかわらず、以下のような所見が多く見られました。
椎間板ヘルニア
脊柱管狭窄
椎間板のつぶれ
圧迫骨折
つまり、レントゲンやMRIで「異常」が写っても、それが痛みの原因とは限らないということです。
症状がない人にも異常所見はよく見られます。そのため、画像だけを見て「ヘルニアだから痛い」「狭窄があるから治療が必要」とは判断できません。
骨折や腫瘍(がん)、重度の変形など特別な場合を除き、画像所見だけで治療につながることはほとんどありません。
患者さんの中には「私はヘルニアです」「昔、狭窄症と言われました」とおっしゃる方がいます。しかし、実際には画像所見が症状の原因でないことも多いのです。特に脊柱管狭窄症では、MRIで「強い狭窄」が写っていても、症状と関係ないことがよくあります。
レントゲンやMRIはあくまで参考資料です。整形外科の診療では、診察や治療の経過を見ながら、本当の痛みの原因を一緒に探していくことが重要です。
画像上の「異常」を安易に痛みの原因だと説明すると、不安だけが残ってしまうことがあります。何十年も気にされる方もいます。ですから、私たちは「必要のない不安は与えない」ようにしつつ、「安心していただく」ことを大切にしています。
膝や股関節などでも、画像に異常が写っていても、それが痛みの原因ではない場合があります。整形外科では、画像だけでは痛みの説明がつかないことが多いのです。
以前は「画像=診断・治療」という考え方が中心でしたが、今は変わりつつあります。画像所見にとらわれず、患者さんの症状や生活の質を重視した治療が行われています。
以下に慢性腰痛の原因と治療についての要点を簡潔にまとめました。
慢性腰痛の原因: 主に4つの要因が考えれれます。 それは椎間関節、筋・筋膜、仙腸関節、そして椎間板です。これらの要因を識別し、それぞれに適した治療を行います。
診断と治療: レントゲンやMRIは診断に役立つこともありますが、常に有効とは限りません。診察とリハビリを通じて、痛みの根本原因を見極め、適切な治療を進めます。
腰痛以外の症状: 椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の場合、急性期を除き、症状は腰痛ではなく、臀部や下肢の痛みやシビレとして現れます。これは腰痛とは異なる点に注意が必要です。
痛みの原因: 臀部や下肢の痛みやシビレは、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎すべり症など脊柱周辺の問題に起因することもありますが、実際には脊椎以外の原因の方が多いとされています。そのため、正確な診断と治療が重要です。
慢性的な腰痛は、大まかに4つの原因が考えられます。
「椎間関節」「筋・筋膜」「仙腸関節」「椎間板」の4つです。
これらを鑑別して、それぞれに対して治療をしていきます。
オーバーラップしている腰痛もあります。
椎間板が原因となる腰痛は、ほとんど無いのではと考えています。
これらの診断に、レントゲンやMRIはほとんどの場合、役に立たたず、参考程度に活用します。
診察で所見を取り、またリハビリを行いながら、診断することもあります。
原因に沿った、リハビリや注射を行っていきます。
圧迫骨折や癌の骨転移などの診断にはレントゲンに加えて、MRIが必要になる場合はあります。
椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症では、急性期以外は腰痛ではなく、臀部や下肢の痛みやシビレが症状として出ます。これは知っておいてください。症状はほとんど腰痛ではないのです。
臀部や下肢の痛みの原因としては、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、腰椎すべり症などの脊椎周辺の場合がありますが、むしろ脊椎の外が原因となっている場合の方が多いのではと考えて、診断と治療を進めていきます。
梨状筋周辺の坐骨神経、後大腿皮神経、下殿皮神経、上殿神経、陰部神経。
仙腸関節。
上殿皮神経、中殿皮神経。
閉鎖神経。大腿神経、伏在神経。腓骨神経。腓腹神経。脛骨神経、足底神経など。
症状の場所や圧痛点、筋力低下が無いかなどから推察していきます。
ターゲットをしぼって、神経周囲の筋肉の滑走や硬さを取るリハビリ、骨盤調整、ブロック、ハイドロリリースなどを行っていきます。
骨粗鬆症の治療薬には、骨が吸収されていくのを防ぐ薬と、骨を新しく作るのを促進する薬があります。
以下に代表的な薬物治療法を紹介しますが、運動療法は必要です。コツコツ体操の動画はこちらを。
ビスホスホネート製剤
ビスホスホネート製剤は、骨粗鬆症の治療薬の代表的な薬で、破骨細胞という骨を壊す細胞の働きを抑え、骨吸収を抑制する薬です。代表的な薬にはアレンドロン酸(ボナロン®)、リセドロン酸(アクトネル®)、ミノドロン酸(ボノテオ®)などがあります。これらは内服薬として毎日、週1回、月1回の服用が可能で、注射薬として年1回の点滴もあります。
SERM製剤
閉経後の女性に多く見られる骨粗しょう症は、女性ホルモンの減少により骨密度が低下し、骨折リスクが高まります。SERMは、骨にある女性ホルモンの受容体という場所に選択的に作用し、骨吸収を抑制しながら骨形成を促進します。代表的なSERM製剤には、ラロキシフェン(エビスタ®)やバゼドキシフェン(ビビアント®)があります。毎日1錠の服用となります。閉経後の女性で、比較的若く、骨折リスクが中等度以下の人に向いています。
ビタミンD製剤
デノスマブ
デノスマブ(プラリア®)は、破骨細胞の働きを抑え、骨吸収を抑制する注射薬で、半年に一度の皮下注射で効果を発揮します。骨密度を高める効果が高く、特にビスホスホネート製剤が効果を示さない場合に使用されます。半年に1回注射するだけですので、継続しやすい特徴があります。
副甲状腺ホルモン
副甲状腺ホルモン薬(テリパラチド)は、骨形成を促進する薬です。重度の骨粗鬆症や、高齢者の圧迫骨折などの骨折後に使用します。週1回の通院による皮下注射、または自宅での自己注射を選択します。通常は2年間継続します。
ロモソズマブ
ロモソズマブ(イベニティ®)は、骨形成を促進しするとともに、骨吸収も抑制する注射です。
月に1回、通院にて皮下注射を12か月行います。特に骨折リスクの高い患者さんに用います。
骨粗しょう症の薬物治療は、骨密度測定などで骨折の危険性が高い結果、腎機能、注射か飲み薬かといった希望、閉経の有無などによって選択されます。患者さん一人ひとりの状況や希望に合わせて薬を選択していきます。
関節リウマチ(RA)は、主に関節に炎症を引き起こし、痛みや腫れ、変形をもたらす慢性の自己免疫疾患です。免疫システムが誤って自身の組織を攻撃することが原因とされ、特に手足の小関節に影響を与えますが、全身の臓器にも影響を及ぼすことがあります。
【リウマチ性多発筋痛症】
リウマチ性多発筋痛症(PMR)は、主に50歳以上の高齢者には発症する自己免疫疾患です。原因は不明ですが、免疫系の異常が関与していると考えられています。
主な症状は、首や肩、腰、太ももの筋肉の痛みやこわばり、全身のだるさ、発熱などです。
診断は、症状と血液検査をもとに行われ、関節リウマチなど他の疾患を除外することが重要です。
PMRは筋肉の痛みとこわばりが主な症状で、ステロイド治療に良好に反応します。
一方、RAは関節の痛みと腫れが主な症状で、複数の治療法を組み合わせて管理します。
どちらも早期診断と適切な治療が重要です。
【乳児の股関節脱臼】
股関節脱臼においては「予防」が最良の治療と言われています。
生まれる前から 日本小児整形外科学会の予防パンフレットを見て、知識をつけておくのもいいと思います。
出生後は、脚の自由な運動を妨げないように心がけて、ゲップをするときに、股を開くように抱っこをするのがいいです。
向き癖がある時には、その反対側の股関節に注意が必要です。
骨盤の後ろ側にある「仙腸関節」を、動かしているのがわからないくらいの弱い力で、手で1ミリ程度動かす調整を行うと、体のいろいろな部分の痛みを、和らげることができます。
この手技によって、腰や、股関節、膝の痛みがある方のうちの、約4割の方を軽快に導いています。
レントゲン写真での関節や脊椎の変形の度合いと、痛みの強さは必ずしも比例しません。手術をすすめられるような変形性股関節症の方でも、骨盤調整による治療で、手術せずに維持できる場合も多くあります。
痛みには、神経への圧迫による痛み、炎症による痛みなどがありますが、骨盤の「仙腸関節」の調整で和らげられる痛みも多くあります。
骨盤調整は、骨や関節の痛みの治療に欠かせない治療法のひとつになっています。
レントゲンやMRIの異常所見≠腰や脚の痛み、しびれの原因という考えを持てるかどうか、まず大切です。
腰痛や脚の痛みやシビレの原因を、レントゲンやMRIで説明できる症例の割合は、半分もないのが現実です。
間欠性跛行がある、動けないくらいの強い腰痛・下肢痛が3日以上も続くような時は、脊柱管狭窄症、圧迫骨折、椎間板ヘルニアなどの所見が得られることが多いです。
それ以外の場合に、骨のすき間がせまい、椎間板が黒い、出ているなどの所見は、意味がなく、画像以外で原因を探していかなくてはなりません。
医師による触診などの診察、また診察に基づいてセラピストに治療を指示しますが、そのセラピストが行う治療効果からのフィードバックも非常に大切で、診断・治療方法の修正を行うこともあります。
【腰部脊柱管狭窄症】
50歳以上の人938例を無作意にMRI検査をしたところ、78%の人に中等度以上の脊柱管狭窄が見つかり、
そのうち症状を有していたのは13%だったという報告があります。
ほとんどの人が画像上で脊柱管狭窄があっても、間欠性跛行や腰痛をおこす原因にはならない、というのが科学的な考え方です。
腰痛の患者さんに「私、脊柱管狭窄があります」なんて自慢げ?によく言われますが、また画像の説明だけで思いこんでいらっしゃるな、というか思いこまされて納得されてるな、と心の中で思います。
腰痛や臀部、下肢痛の原因を短い時間で診察、診断するのは簡単ではなく、不安な患者さんに納得していただく説明をするには画像で説明するのが手っ取り早く、患者さんの心も安心するかもしれませんが。
でも正しい説明は、「画像上は脊柱管狭窄がありますが、これは加齢性のもので、多くの人が持っていて、今の症状の原因ではありません。重症の狭窄ではないので、これからも間欠性跛行や下肢痛などの症状は出ないでしょう。悪い病気もありませんので安心してください。」だと思います。
何分か歩いていると、痛みやシビレで歩けなくなり、ちょっと立ち止まったり、腰かけていると治ってまた歩けるようになる、という「間欠性跛行」がある場合は、脊柱管狭窄症があるかも知れないと判断し、診断を進めていきます。
脊柱管狭窄症の原因の大部分は、加齢に伴う背骨の変形です。
背骨の中の神経の通り道が狭くなり、脚の方へいく神経への血流が悪くなります。
特徴的な症状は、歩いていると脚がしびれてきて、しばらくすると歩けなくなりますが、その場で休むとしびれが消えて、また歩けるようになる、いわゆる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。症状は、片脚にでる場合と、両脚にでる場合があります。
脊柱管の狭窄は、ほとんど下位腰椎で起こり、加齢現象で起こってきますが、下位腰椎(ベルトの高さくらい)が過伸展してくると、さらに狭くなります。背中が丸くなっている人や、骨盤が後ろへかたむいている人も、多くの人は、下位腰椎は過伸展しています。
下位腰椎の部分のそりを少なくする手技や運動療法もしていきますが、上位の腰椎と下位の胸椎のつなぎ目付近の背骨の柔軟性を上げ、背骨のカーブを正常化させていくことを、はじめに行っていきます。
すぐに効果が出る方もいますし、効果がなかなか出ない方もいます。しかし、経過をみていくと、よくなっていく方がたくさんいます。リハビリを続けていくと、最初は300メートル以下しか歩けなかった症例のうち、3分の2ぐらいの症例で、1000メートル歩けるようになります。手術をすすめられても、排尿障害などなければ、1年から2年くらい手術を受けずにリハビリを受けながら経過をみていってもいいと思います。
また間欠性跛行の症状がなく、画像による診断だけで狭窄症と診断することには疑問もあります。
腰や骨盤の角度を変えていくリハビリを行っていくと間欠性跛行が治っていく方もたくさんいらっしゃいます。
【腰椎椎間板ヘルニア】
多くの場合、左右どちらかの脚に急に強い痛みが出現します。痛みが強く、脚をひきずりながら歩くようになります。
原因はわからないことがほとんどです。経験上、症状、診察から椎間板ヘルニアと診断できますが、他の悪い病気がないか念のためMRIの検査を受けていただくこともあります。
椎間板ヘルニア自体はこわい病気ではないと言えます。ほとんどは、3、4か月くらいで治癒にむかいます。ただ、初期には痛みが強くたいへんつらい思いをします。その初期の痛み(長くて1か月続く時も)に対処していく必要があります。
痛み止めの点滴、ブロック注射、投薬などをおこないます。また当院では血流や筋緊張の改善、ヘルニアが早く消えるように免疫力を上げる目的で鍼治療もおこないます。
痛みがひどい動けませんが、安静にしているとかえって痛みやシビレが長引き、また痛みやシビレが少し残ってしまう印象もあります。神経がまわりの組織と癒着したり、神経の滑走性が悪くなるからなのでしょうか。
手術は、生活上強い痛みをすぐにでも治したい方、ヘルニアによって麻痺症状(尿の出がおかしい、足首が動かないなど)が起きている方に、すすめています。
脚をひきずるような強い痛みではないときは、いわゆる坐骨神経痛や骨盤の関節の問題も考慮して、腰や臀部などの筋肉を中心とした理学療法や骨盤調整、鍼治療などをおこなっていきます。
MRIの検査にてヘルニアがあると言われても、それが症状の原因になっていない場合の方が多いのが現実です。特に症状が片側の脚の強い痛みでない場合は、画像上ヘルニアがあっても気にしない方が賢明です。
MRI画像で構造的な異常が見つかっても、それがイコール痛みの原因でないことはよく知られています。無症状の人でも画像上の異常があることは珍しいことではありません。そこの部分を治す必要はありません。また、患者さんの痛みの原因が明らかにそこの部分にはないと判断できるときは、説明をしないことも多いです。悪いというイメージが頭に刷り込まれると、それが不安をもたらし、その不安が痛みの原因になってしまうことも多いからです。
関節の痛みとレントゲン所見について
関節の痛みは、必ずしも軟骨の問題が痛みの原因ではありません。特に膝の場合、レントゲンで異常が見つかっても、それが痛みの説明になることは、あまりありません。
診察では、膝周囲の筋肉、腱、脂肪体、滑液包、神経を触診し、膝痛の場合でも、足・足関節、股関節周囲の触診もします。
レントゲンやエコーの検査を行い、診断を確定させた後に、セラピストに治療の指示を出しますが、セラピストによる治療の効果を検討し、診断や治療方法の修正を行うこともあります。
治療効果を評価し、診断や治療法を修正、決定していくことを、第3水準の評価と言います。診断と治療法を確実な物にしていきます。
MRIにて、半月板や軟骨が傷んでいる所見がある場合も、セラピストの治療で痛みがなくなっていく症例の方が多いです。
軟骨の摩耗が原因でない関節痛も多いことがわかっています。 一般的に、軟骨がすり減って、骨同士がこすれることが痛みの原因と考えられがちですが、実際にはそうではありません。
関節痛は、腱や筋肉、脂肪体、滑液包、神経、または関節の炎症が原因になることが多いです。
正確な原因を把握し、セラピストによる痛みの原因に対するリハビリを行っていきます。注射が有効で早く治ることを望まれる場合は、注射による治療も行います。
【腰椎分離症】
好発年齢は、10歳から15歳。
スポーツ、特に体を反らせたり、ひねったりする動作の多い競技の発症率が高い傾向にあります。
繰り返しの負荷で腰の骨の一部に疲労骨折することで生じる状態です。
治療は、分離の発症早期に診断がつけば、コルセットとの装着とスポーツの休止しえて、骨がくっつくのを待ちます。3か月から8か月と長期間かかります。ただ、数か月頑張って待っても骨がくっつかない時もあります。その時点で骨がくっついていなくても、ほとんどの場合、腰の痛みは無くなってはいますのでスポーツ復帰はできます。
また、分離の発症から診断までに時間がかかっている場合は、コルセットを装着しても、骨がくっつく可能性が低くなり、骨の癒合はあきらめて、痛みをやわらげ、消失させる薬やリハビリによる治療となります。
標準的な治療は、コルセット装着とスポーツ禁止を数か月続けることです。しかし、ここで、考えなければならないことは、標準的な治療をせず、分離症による疲労骨折部が癒合しなかった場合、将来的にどうなるかです。
経験的に言いますと、分離したところが癒合しなくても、将来的に何か良くないことが起こるということは、かなりまれです。大人の腰痛や下肢痛がある患者さんを多くみていても、分離症が原因となっている方をみることは、ほとんどありません。分離した骨が癒合しないと腰痛や下肢痛が起きる確率少しが上がるとは思いますが、体幹や股関節、足関節を柔らかくしたり、筋力をつけたり、重い物を持つときに気を付けるなど、一般的な腰痛予防を行っていけば、その確率も下がります。
腰椎分離症は、頻繁にある疾患ではありますが、治療方法については、分離部の状態、発症から診断までの時間、また数か月のコルセット装着とスポーツの休止や、それをしても骨癒合しない場合もある、ということに対しての御家族や本人の考えも考慮して選択していく必要があります。
【肘内障】
子どもが腕を突然動かさなくなった場合、肘内障が1つの原因として考えられます。
多くは5才以下で、2才がピークです。生後3か月の経験もあります。
肘にある橈骨頭という所を包んでいる輪状靭帯が関節のすき間に、はさまることによって起こります。
手を引っ張ったことによる場合が半数、残りの半数は手を引っ張ったりしなくても起こると言われています。
肘以外の場所を痛がることもあります(特に手首など)。
診断は、レントゲンでなく、超音波で行います。
骨折との鑑別にも、超音波が有用です。
治療は、徒手整復にて、簡単に治る場合がほとんどですが、その場ではできないこともまれにあります。翌日や数日後にまた整復を試みたり、自然に整復されていることもあります。5%は、その場で徒手整復できず、経過をみることになると言われています(Charles G et al:Pediatrics,1992,102,e10)。
これまで肘に関して、肘内障による後遺症と思われる症例には出会ったことがありませんので、後遺症は残さないものと思われます。
注意しなくてはいけないのが、微小な骨折や骨端軟骨の損傷です。整復できない場合は、それらの可能性も考え、シーネ固定をして経過をみることもあります。
【成長痛】
幼児や小学生に見られる一過性です。 多くは、下肢の痛みです。
3人に1人の子どもに起こるという報告もあります。
10歳ごろまでに自然に治っていきますが、精神発達遅滞のある子どもでは、10歳以降も続くことがあります。
骨の成長に伴う痛みで、痛みに敏感な子どもに起こりやすいと言われていますが、原因はいまだに不明です。
10歳以降にみられる、オスグッド病などの痛みを成長痛と呼ぶ医療関係者がいますが、これは間違った解釈です。
子どもが、寝床に入ってから、膝やすねの激しい痛みを訴えて泣き、しばらくするとスヤスヤと寝入るというのが典型的な症状です。
翌朝は、何事もなかったように元気になり、脚を引きずることもなくなります。 毎晩ではなく、時々おこり、数か月から数年にわたって、同じような症状が続くこともあります。
診察室で診察しても、異常な所見がとらえられず、症状の全くない日の方が多いこと、レントゲンなどで異常が見られないことがポイントとなります。
この痛みは病気ではないと考え、痛い時は痛いところを優しくさすってあげてみてください。
外傷であったり、腫瘍などの注意すべき疾患もまれにはあります。念のため診察は受けられてください。
また、症状がいつもと時には、再診をしてください。
(長野県立こども病院の「みんな成長痛って知ってる?」というパンフレットが参考になります。)
【O脚について】
3歳以下のお子さんのO脚の9割以上は、成長とともに自然に治っていきます。
まれに病的なものがあり、治療が必要となる時があります。
5歳まで経過をみてO脚が減ってこないような時は、Blount病と診断して手術治療を行います。
ただしO脚が極端にひどい時は、5歳まで待つと1回の手術では治らず、何回も難しい手術をする可能性もでてきますので、5歳まで待たずに手術を考慮する時もあります。
またビタミン不足による、くる病が原因で病的なO脚となることもあります。
【うちわ歩行(うちまた歩行)について】
うちわ歩行(内股歩行)は、小児の3割くらいに見られる歩き方で、つま先が内側を向く歩き方です。
通常は、成長とともに自然に改善していきます。
膝より上で捻じれているのか、膝より下で捻じれているのか、足の部分に変形があるのか、診察していきます。
8歳以降で、極端なうちわ歩行が残り、機能的な問題が生じている場合は、治療が必要となる時があります。
【背骨の側弯症について】
小学校や中学校の健康診断で背骨の「側弯症」疑いと指摘され、来院される方がたくさんいらっしゃいます。
側弯が軽度の場合は、治療はしないで、そのまま年に1回とかレントゲン検査と診察で経過をみていけば大丈夫です。軽度とは背骨が曲がっている角度が20度から25度くらいのことです。経過をみていき次回の診察で進行していれば、装具などでの治療を考えていきます。
側弯症学会のホームページが参考になります。
妊娠中の薬の使い方について
妊娠している時には、お母さんだけでなくお腹の赤ちゃんへの影響も考えなければなりません。薬によっては赤ちゃんの成長に悪い影響を与えるものもあるため、妊娠中の薬は「どうしても必要な時に、必要な分だけ使う」というのが基本です。
妊娠の可能性がある女性への注意
妊娠に気づかないまま薬を飲むこともあります。そのため、妊娠する可能性のある女性には、普段から赤ちゃんに安全な薬を優先して使うことが望まれます。特に一部の病気で使う薬(リウマチやてんかんの薬など)は妊娠中に使えないものもあり、妊娠を考える前から医師と相談することが大切です。
妊婦さんに薬を使う時の考え方
まずは薬を使わないで済む方法(休養や生活改善、理学療法など)を優先します。それでも症状がつらい時や病気を放置すると危険な場合には、安全性が確認されている薬をできるだけ少ない量で使います。
妊娠中は体の中で薬の働きが変わる
妊娠中は血液や体の水分が増えたり、腎臓や肝臓の働きが変わったりするため、薬の効き方や体から出ていく速さが普段と違ってきます。医師が用量を調整するのはそのためです。
お父さんが飲む薬の影響は?
お父さんが薬を飲んでいても、赤ちゃんに直接悪い影響が出ることはほとんどありません。ただし一部の薬は精子に影響する可能性が報告されているため、妊娠を考えている時は主治医に相談しておくと安心です。
妊娠の時期と薬の影響
妊娠初期(特に3〜8週)は「赤ちゃんの形作り」の時期で奇形のリスクが高い。
妊娠後期は「臓器の機能向上や成長」の時期で、臓器の働きに薬の影響(胎児毒性)が出やすい。
妊娠可能性のある方や妊婦さんでは、薬を選ぶときに必ずこの「時期ごとのリスク」を考慮することが大切です。
薬の影響を考える前に「だれでも起こうるリスク」の確率を知っておく
自然流産について: 妊娠した方のうち、だいたい10人に1〜2人は、特別な原因がなくても自然に流産します。多くは妊娠3か月までに起こり、赤ちゃんの染色体の異常など、赤ちゃん側の理由によるものです。薬の影響ではありません。
先天異常について: 薬を一切使わなくても、生まれてくる赤ちゃんの約20人に1人(3〜5%)には、心臓の形の違いなど、何らかの先天的な異常が見つかります。これを「基礎リスク」といい、すべての妊娠に共通してあるものです。
鎮痛薬、抗炎症薬
妊娠初期(妊娠14週未満)は、インドメタシン、ジクロフェナク以外は使用できます。基本的には、アセトアミノフェンを使用。強い痛みの場合は、ロキソニンなどを必要最小限で。
妊娠中期(妊娠14週~28週未満)、後期(28週以降)は、アセトアミノフェンを必要最小限で、服用します。後期では、ロキソニンなどは使用しないようにします。
湿布などの外用薬は、後期では使用しないようにします。前期、中期も必要最小限の使用にとどめます。
タリージェ、リリカ、トラムセットなども使用しない方がいいようです。
基本はアセトアミノフェン、どうしてもの時はロキソニンなどのNSAIDs(ただし妊娠20週以降は注意、後期は禁忌)、それ以外はほぼ使えない、という整理になります。
抗リウマチ薬
メトトレキサートは、強い催奇形性があり、妊娠前から中止が必要です。JAK阻害薬も使用できません。
サラゾスルファピリジンとプログラフは、妊娠中も使用できます。 ケアラムは使用を避けます。
生物学的製剤(注射の製剤)については、すべて使用可としている教科書もありますが、ちがう見解もあります。
簡単にまとめますと、妊娠・授乳中に使える抗リウマチ薬は限られており、メトトレキサートは絶対禁止、サラゾスルファピリジンは安心、それ以外は専門医と相談で、という整理になります。
骨粗鬆症の薬
妊娠可能な年齢の方に使用することはまずありませんが、ビタミンⅮは使用できます。
グルココルチコイド製剤(ステロイド製剤)
高用量を長期間使用しなければいけないときは注意をしますが、少ない量でしたら、使用可能と考えます。
関節内注射も使用可能です。
局所麻酔薬
一般的に使用する麻酔薬は、安全に使用できます。
授乳と薬の考え方
多くの薬は母乳にごく少量しか移行せず、赤ちゃんに大きな影響はありません。ただし一部の薬は禁忌(使ってはいけない)、または注意が必要です。
抗リウマチ薬のメトトレキサートは使用できません。
鎮痛薬のアセトアミノフェン、またロキソニンも問題ないと考えられます。
トラムセット、リリカ、タリージェは、はっきりとデータが無いようで、使用は避けます。
ステロイド製剤は使用可能と考えます。
妊娠期・授乳期のワクチン接種
当院でも行っているインフルエンザワクチン、コロナウイルスワクチンは接種可能です。
破傷風トキソイドも接種可能です。
必要な薬を安心して使えるよう、妊娠・授乳期の薬の選び方は医師との相談が何より大切です。気になることがあれば、いつでもご相談ください。また、妊娠と薬情報センターという相談できるサイトもあります。
エクオールは、大豆イソフラボンから腸内細菌の働きによって作られる成分で、特に女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用を持つことで知られています。整形外科の領域では、更年期以降の骨や関節の健康に大きく関わります。閉経後はエストロゲンが減少するため、骨粗鬆症や関節の痛み、いわゆる「メノポハンド(更年期に起こる手の関節痛)」などが増えてきます。エクオールは体内でエストロゲンの代わりに働き、骨の代謝バランスを整え、骨量の減少を抑える効果が期待されています。また、手や膝などの関節痛の軽減にも役立つとされ、特に女性に多い症状に効果が報告されています。
しかし、誰でも体内でエクオールを作れるわけではありません。日本人では約半数がエクオールを産生できず、そうした人はサプリメントとして摂取することで効果が期待できます。臨床試験では、関節のこわばりや痛みが軽減する人が一定数おり、有効率はおおむね3~5割程度とされています。つまり「全員に効く」わけではなく、体質や腸内環境によって差が出ます。効果が出る人は数週間から数か月で自覚的な改善を感じることが多いと報告されています。
整形外科的には、骨粗鬆症の予防・補助的治療、関節痛やメノポハンドに悩む中高年女性、さらには閉経後の骨折リスクが高い方にとって、エクオールは役立つ可能性があります。薬ではなく「食品由来の成分」なので比較的安全性は高いですが、万能ではないことを理解して利用することが大切です。
エクオールの検査キットが市販されています。大豆イソフラボンから体内でエクオールを作れるかどうかを調べる尿検査です。骨粗鬆症や関節痛、更年期症状の予防・改善の目安になります。キットは薬局やネット通販で購入し、自宅で尿を採取して郵送するタイプとその場で結果がわかるタイプがあります。
【こむら返り(筋肉のつり)について】
こむら返りは、ふくらはぎの筋肉がスポーツしている時や睡眠中に、突然収縮して硬直して、強い痛みを伴う現象です。
筋肉がつったと表現され、すねや手の筋肉など他の部位にもおこります。
主な原因は、筋肉の疲労、水分不足、血行の不良、マグネシウムなどのミネラルの不足、また寝ている時の姿勢を指摘する人もいます。
スポーツや長時間の立ち仕事などで、筋肉が疲労すると起こりやすくなります。
水分不足やミネラルの不足も原因となります。
また、冷えや長時間同じ姿勢でいると血行が悪くなると、起こりやすくなります。
起こった時の対処法としては、起きた時には難しいですが体をリラックスさせて、つっている筋肉をゆっくりと伸ばしていきます。痛い筋肉を温めると血行が良くなり痛みがやわらぎます。
漢方薬の芍薬甘草湯も効果があります。
予防法としましては、適度な運動を行い、筋肉のストレッチをしていきます。
寝る前や こまめな水分補給も必要です。
たびたび起こってつらい方には、芍薬甘草湯を処方します。ただ、長期間の服用では、高血圧などの副作用もあります。