王禅寺整形外科 整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科

院長コラム

皆様のお役に立てるような情報などを書いていこうと思っています。地元の情報誌に書きました記事が中心となっていますが、御希望の内容がございましたらお知らせ下さい。

 

目次

  • 骨粗鬆症の治療
  • 関節リウマチの治療   
  • 股関節脱臼について
  • 骨盤調整による痛みの治療 
  • 脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアについて
  • 変形性膝関節症、 変形性股関節症に対する考え方 
  • 子どもと整形外科 
  • 関節リウマチの治療

 

骨粗鬆症の治療

  概ね70歳以上の方には、ビスホスホネート製剤(月に1錠または週に1錠服薬)とビタミンD製剤を、それ以下の方には、SERM製剤とビタミンD製剤を処方しています。

 骨粗鬆症の程度により、半年に1回注射するデノスマブ(プラリア)、また、週に1回通院または毎日患者さんが自分で注射する副甲状腺ホルモン製剤(テリボン、フォルテ)をすすめています。

 骨粗鬆症の方が、脊椎の圧迫骨折、その他の骨折を起こした場合、受傷直後から副甲状腺ホルモン製剤の注射を週に1回の割合でしていきます。骨粗鬆症の治療だけでなく骨折の痛みを早く軽減します。

 カルシウムを摂取することは重要ですが、サプリメントやカルシウム薬にて心血管疾患のリスクが増すことが報告されています。できるだけ食品で摂取することがすすめれます。サプリメントや薬の1回の服用量が多くならないようにすることが大切です。またビタミンD製剤も1回の服用量を増やさないようにしてください。

 

関節リウマチの治療について

 関節リウマチは、自己免疫疾患と呼ばれる病気の仲間に入ります。本来は自分の体を守るための免疫システムが、自分自身の正常な細胞や組織、関節リウマチの場合は関節を攻撃するようになっています。それによって関節に炎症が生じて、関節の軟骨や骨が破壊されていきます。

メトトレキサートや生物学的製剤(バイオ製剤)を使うことにより、関節の軟骨や骨の変形を防ぐことができるようになり、治療がうまくいけば、以前のように関節の変形を新たに発生させることはなくなっています。

リウマチのコントロールがうまくいき、リウマチのことを忘れて生活できることを 「寛解」 と呼びます。 

発症早期の方だけでなく、長期間リウマチの痛みで悩んでいた方も 「寛解」 の状態にできる方が増えています。

いったん変形してしまった関節を薬でなおすことは今のところできません。 そのために、関節の軟骨が傷みはじめる前に治療を開始することが重要です。

発症後時間が経った方、重症な方も含め、「寛解」 をめざした治療を行っていきます。 メトトレキサートやバイオ製剤を副作用に注意しながら適切に使用していきます。 薬の効果があらわれ、 「寛解」 の状態が安定してきましたら、薬の減量を試していきます。

副作用の問題などで、メトトレキサートやバイオ製剤を使用できない患者さんもいらっしゃいます。 その場合は、他の抗リウマチ薬を使用していきます。 治療になかなか反応しない方もいらっしゃるのも事実ですが、民間療法には手を出さない方が賢明だと思います。何か月かかかるかも知れませんが、根気よく有効な薬を見つけていきます。 

関節の痛みや、拘縮の予防や改善のためのリハビリも行っていきます。

〈早期診断、治療の必要性〉  リウマチの初期に治療を開始すれば、「治癒」に持ち込むことができる時期があると考えられるようになっています。 発症後、3か月が重要と考えられています。 早期に治療を開始するためには、早期の診断が必要です。

〈抗CCP抗体〉 リウマチの診断、治療において、必須の血液検査項目です。 今症状がでていない人でも、陽性の場合は、数年以内に発症する可能性が非常に高いです。  また、抗CCP抗体の値が100以上の人は、症状が強くでる可能性が高いです。

 【リウマチ性多発筋痛症】

50歳以上の高齢者に多く発症し、肩や腕、太ももなどの筋肉の痛み、朝のこわばりなどを訴えます。

「リウマチ」と病名についていますが、関節リウマチとは別の病気です。

特に年齢が70歳前後で、急に肩が痛くて両腕を上にあげられなくなった、朝の症状が強い、と言うときはこの病気の可能性があります。

血液検査で炎症の状態をみます。

治療ではステロイドの内服を長期に続ける必要があります。ステロイドの内服治療によく反応しますが、多くの場合、2から3年は内服が必要です。再発も多いです。

こめかみの痛みや噛むときの違和感を伴うときは、視力障害を発症する恐れもあり、特に注意が必要で、ステロイドを内服する量を多くする必要があります。

 

 

股関節脱臼について

【乳児の股関節脱臼】

乳児の股関節脱臼は、時々みられる疾患です。

脚の開きが悪い、左右の脚の長さがちがう、太ももやお尻のシワが左右で対称でない、などが症状です。
脱臼していても痛がりません。

多くは先天性ではなく、生まれてから起こると考えられています。

赤ちゃんは、膝を曲げ、股を開くカエルのような格好をするのが自然なのですが、それを無理に真っ直ぐにしたり、 赤ちゃんが股を開く姿勢を妨げるオムツや服をつけることで、脱臼が起こりやすくなります。

遅くとも生後8か月までに発見したいものです。

簡単なバンドをつける適切な治療を早期に始めれば、9割以上の確率で治ります。
レントゲンなどを用いず、ほとんどの症例は、専門医の視診と触診で診断ができます。

放置しておくと関節の変形をおこすことがありますので、脱臼が疑われる時は早めに専門医を受診してください。

 

骨盤調整による痛みの治療

骨盤の後ろ側にある「仙腸関節」を、動かしているのがわからないくらいの弱い力で、手で1ミリ程度動かす調整を行うと、体のいろいろな部分の痛みを、和らげることができます。

この手技によって、腰や、股関節、膝の痛みがある方のうちの、約4割の方を軽快に導いています。

レントゲン写真での関節や脊椎の変形の度合いと、痛みの強さは必ずしも比例しません。 手術をすすめられるような変形性股関節症の方でも、骨盤調整による治療で、手術せずに維持できる場合も多くあります。

痛みには、神経への圧迫による痛み、炎症による痛みなどがありますが、骨盤の「仙腸関節」の調整で和らげられる痛みも多くあります。

骨盤調整は、骨や関節の痛みの治療に欠かせない治療法のひとつになっています。

 

脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアについて

【腰部脊柱管狭窄症】

脊柱管狭窄症の原因の大部分は、加齢に伴う背骨の変形です。
背骨の中の神経の通り道が狭くなり、脚の方へいく神経への血流が悪くなります。

特徴的な症状は、歩いていると脚がしびれてきて、しばらくすると歩けなくなりますが、その場で休むとしびれが消えて、また歩けるようになる、いわゆる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。 症状は、片脚にでる場合と、両脚にでる場合があります。

骨盤調整や背骨の関節の調整、筋肉の緊張を取る運動療法をしていきます。
すぐに効果が出る方もいますし、効果がなかなか出ない方もいます。 しかし、経過をみていくと、よくなっていく方がたくさんいます。 リハビリを続けていくと、最初は300メートル以下しか歩けなかった症例のうち、3分の2ぐらいの症例で、1000メートル歩けるようになります。手術をすすめられても、排尿障害などなければ、1年から2年くらい手術を受けずにリハビリを受けながら経過をみていってもいいと思います。

また間欠性跛行の症状がなく、画像による診断だけで狭窄症との診断するのは間違いです。

多くの患者さんは改善していきます。

 

【腰椎椎間板ヘルニア】

多くの場合、左右どちらかの脚に急に強い痛みが出現します。痛みが強く、脚をひきずりながら歩くようになります。

原因はわからないことがほとんどです。経験上、症状、診察から椎間板ヘルニアと診断できますが、他の悪い病気がないか念のためMRIの検査を受けていただくこともあります。
 

椎間板ヘルニア自体はこわい病気ではありません。3,4か月くらいで治癒にむかいます。ただ、初期には痛みが強くたいへんつらい思いをします。 その初期の痛み(長くて1か月続く時も)に対処していく必要があります。

病院ですので、痛み止めの点滴、ブロック注射、投薬などをおこないます。また当院では血流や筋緊張の改善、ヘルニアが早く消えるように免疫力を上げる目的で鍼治療もおこないます。

手術は、生活上強い痛みをすぐにでも治したい方、ヘルニアによって麻痺症状(尿の出がおかしい、足首が動かないなど)が起きている方にのみ、すすめています。

脚をひきずるような強い痛みではないときは、いわゆる坐骨神経痛や骨盤の関節の問題も考慮して、腰や臀部などの筋肉を中心とした理学療法や骨盤調整、鍼治療などをおこなっていきます。

 

変形性膝関節症、 変形性股関節症に対する考え方

関節の痛みの多くは軟骨が原因ではないということがわかってきました。

関節の痛みというと、軟骨が擦り減って骨がこすれるのが原因、と思われる方が多いのではないでしょうか?

関節痛の訴えで来院された80歳以上の方でも、レントゲンやMRIで検査すると、軟骨が傷んでいない方がたくさんいらっしゃいます。 グルサミンなどのCMとの矛盾をいつも感じてしまいます。 

軟骨が擦り減り、手術が必要な場合もありますが、まれです。
反対に擦り減っていても、痛みがない場合が非常に多いの現実です。

多くは、関節周囲の腱や筋や、それらを支える組織の痛み、脂肪体または何らかの原因による関節内の炎症によるものです。

関節の痛み、特に股関節の痛みがなかなかとれない方の場合、運動などでのオーバーユースが原因となっていることが多いのも確かです。

原因を正確に把握し、セラピストによるリハビリをおこなっていきます。

炎症が強いときは、注射をして痛みをとります。

日常生活では、ゆっくりとしゃがむ屈伸運動やストレッチなど適度に、適切に、運動させていることが痛みの予防に大切です。 短時間の正座は、関節にいい刺激になることも多いです。

高齢者の膝や股関節の痛みであっても、軟骨が原因でないものの方が多いことがわかってきました。

変形性関節症という見方だけで、関節の痛みをとらえない方が適切です。
  

子どもと整形外科

【成長痛】 

10歳以下では、一過性の脚の痛み。 10歳以上ではスポーツなどによる疲労性の痛みに対して一般的に使われている言葉です。

骨の成長にともなっては痛みがおきることはないことから、成長痛という言葉を病名としては使っていません。

典型的な「成長痛」

・幼稚園保育園から小学校低学年の子供が、夕方から夜の間に脚の痛みを訴える。泣くほど痛がることもある。

・さすったり、抱っこしてると改善し、翌朝にはふつうに歩ける。

・痛みが不定期に繰り返しおこる。

・痛みのために早退したり、休んだりすることはあまりみられない。

原因としては、疲労性要因、精神的要因があるとも言われていますが、確定されていません。

特別な治療は不要で、痛いところをさすってあげたり、外用薬を貼付するなど、スキンシップを大切にしてください。

外傷であったり、腫瘍などの注意すべき疾患もまれにはあります。念のため診察は受けられてください。

(長野県立こども病院の「みんな成長痛って知ってる?」というパンフレットが参考になります。)

関節リウマチの治療